イギリスの携帯電話会社

イギリスの携帯電話会社で日本で言うドコモ、KDDI、SoftBankのような位置づけにある大手携帯電話会社は加入者の多い順にO2（オーツー）、Vodafone（ボーダフォン）、T-Mobile（ティーモバイル）、Orange（オレンジ）、3（スリー）です。

また、上記のような大手携帯会社から回線を借り受けて事業を行うサービスプロバイダー（MVNO：Mobile Virtual Network Operator）も多数あり、代表的なものとしてはVirgin（バージン）、その他やや知名度は劣りますがTalkmobile（トークモバイル）やBT Mobile（ビーティーモバイル）などがあります。

以下に各携帯会社の特徴を加えて表にしました。

英国の携帯電話会社

会社	特徴	URL
O2	イギリス国内の加入者数最大。スペインの大手通信事業者テレフォニカの傘下にあり、本社はイギリス。	http://www.o2.co.uk
Vodafone	イギリスに本社がある世界最大の多国籍携帯電話事業会社。日本でも一時ジェイフォンを傘下に収めてボーダフォンとして展開していたが、2006年にソフトバンクへ売却し、業務提携のみとなっている。	http://online.vodafone.co.uk
T-Mobile (UK)	ドイツに本社があるドイツテレコムの子会社。ヴァージン・グループと提携している。プランのバリエーションが多い。	http://www.t-mobile.co.uk
Orange (UK)	電気通信事業を展開するフランステレコムのブランド・Orangeの傘下。一時サービスの質の低下に苦しめられたが	http://shop.orange.co.uk/shop/mobile
3	香港に本社がある多国籍企業ハチソン・ワンポアによる通信事業のブランド。3G携帯のみを扱っており、テレビやSkype機能が充実している。回線が不安定なことが問題視されていたが、最近は改善されてきている模様。	http://www.three.co.uk
Virgin Mobile (UK)	Virginのブランドを利用した携帯電話サービスプロバイダー。T-Mobileと提携しており回線はT-Mobileのものを使用しているが、料金体系などはT-Mobileとは完全に別物。	http://www.virginmobile.com/vm
Talkmobile	ヨーロッパ最大の携帯電話小売店Carphone Warehouseがサービスプロバイダー。ネットワークはVodafoneのものを使用。最近始まった比較的新しいサービス。	http://www.talkmobile.co.uk
BT Mobile	BT（ブリティッシュテレコム）グループの携帯電話サービスプロバイダー。ネットワークはVodafoneを使用。固定電話との通話が有利な少し特殊なプランが多い。	http://www.bt.com/btmobile

イギリスの携帯電話事情

日本と同様にイギリスでも携帯電話はなくてはならないものとなっています。

次々と新しいサービスが登場し、一部の若者は常に最新の機種を追いかけています。ただ、イギリスの人々は日本人に比べると携帯への依存度は低いような印象を受けます。基本的には、文化としてではなくあくまでも通話のためのツールとして定着しているように思います。

通信方式　〜ＧＳＭとＷＣＤＭＡ〜
イギリスの携帯電話の通信方式はＧＳＭとＷＣＤＭＡの２種類です。

ＧＳＭとは、世界で最も一般的な通信方式で、日本と韓国以外のすべての国で使われています。イギリスでもGSMが大勢を占めており、電波などの問題はほとんどありません。

一方で、WCDMAもシェアを徐々に拡大し始めています。最近よく３Ｇ携帯（第三世代携帯）という言葉を耳にしますが、3G携帯とは、IMT-2000という特定の技術規格に準拠した通信方式と携帯電話のことを言います。ＷＣＤＭＡ方式はこの3Gの通信方式ですので、GSMよりも技術的には進んでいると言えます。

ただ、WCDMAは少し前まではアンテナも少なく回線状況も安定せず、通話がまともにできないと不評でした。徐々に改善され、3Gの携帯も普及してきていますが、まだまだGSMの方が多数派です。携帯でインターネットなどを利用したい場合は3G、特にこだわらない場合はGSMを選ぶという具合です。

着信料金はかからない
アメリカなど相手からかけてきたときでも着信料金を支払わなければならない国もありますが、イギリスでは通話もSMSなどのテキストメッセージも国内であれば受信料は完全に無料です（海外でローミングする際には着信料金・受信料金がかかる場合があります）。ただ、インターネットのデータダウンロードは課金されます。

契約携帯電話

在住者・長期滞在者ならPay Monthly
契約携帯電話は、Pay Monthlyとも呼ばれ、日本で私たちが通常加入するものとだいたい同じシステムです。無料通話分が含まれた月額プランには通話中心、テキスト中心、週末かけ放題などの色々なプランがあります。

契約時に携帯電話端末と利用プランを選びます。初期費用には携帯電話端末代金（£０の場合も多い）とインターネットで購入の場合は送料などがかかります。毎月の支払いは
・月額基本料金
・無料通話分を超過した際の通話料
・その他サービス利用料金
が課金されます。
購入するには、街中のいたるところにショップがあるので加入したい携帯電話会社のお店に直接行くか、インターネットでホームページから申し込むことになります。

銀行口座開設がキー
一定期間イギリスに滞在するのであればプリペイドよりも一般の携帯電話を利用するのが便利ですしコスト面でも安心です。ただ、携帯電話の契約をするには現地の銀行口座と一定期間以上の滞在を証明するための書類や住所を証明する書類が必要となります。銀行口座を開設するのは容易ではありません。私の友人にも数ヶ月間銀行とやりとりをし、様々な証明書類を集め、やっと開設できたという人がいます（学生の場合は案外簡単だったりするようですが）。

契約は１２ヶ月か１８ヶ月が基本
ほとんどの場合、規定されている最低契約期間は１２ヶ月か１８ヶ月です。最近ではＳＩＭカードのみの販売プラン（携帯電話端末はで調達しなければならない）が増えていて、この場合は１ヶ月の契約でＯＫな場合がほとんどです。携帯端末の卸値は想像以上に高額らしく、例えばそれをゼロ円で提供する場合、長期の月額料金を請求しなければ利益が出ないわけです。

基本的に途中解約はできない
イギリスの携帯電話には途中解約という概念がほとんどなく、一度契約してしまうと途中で解約したくても解約できません。違約金を払うのではなく、契約期間中は毎月月額基本料金を最後まで払う（あるいはそれと同額を一括で払う）必要があります。

メリット	デメリット
初期導入費が安い 本体は０ポンドからある	現地の銀行口座が必要 現地の銀行口座を持っていない場合、契約することができません。
色々なプランが選べる 長時間話す、特定の人と多く話す、テキスト中心に使う、特定の時間帯に多く話すなど、ＴＰＯに合わせてプランを選ぶことができる	長期滞在者でないと購入は難しい 通常１年〜１年半の契約が主流。途中解約したい場合は、契約期間分の料金を全額払わなければいけない。
チャージする手間がいらない 好きなときにいつでもかけられるのが携帯電話 プリペイド携帯のように残金を気にしたりチャージする面倒がない	契約がややこしい 手続きやトラブル発生時に英語でやり取りする語学力に自信のない人にとっては面倒
通話明細が出る プリペイド携帯などは通話明細が出ないことがほとんど 明細があれば何にどのくらい使ったか、自分でチェックできる	無料通話分を超過すると高額に 無料通話分を超過した場合の通話料金は高く設定されていることが多いので注意が必要 T-mobileのU-Fixというプランは無料通話分外の通話はプリペイド方式になる

プリペイド携帯電話

短期滞在者や銀行口座がない人にはとっても便利なプリペイド
プリペイド携帯電話は、一定の通話時間分の通話料金を事前に購入するタイプの携帯電話です。英国では"Pay as you go"や"Pay as you talk"などと呼ばれています。日本のプリペイドと違い、プリペイド式電話の本体購入時に個人情報を記入したりする必要がなく、誰でも買うことができます。初期費用は携帯電話本体（GSMの場合は携帯電話本体とSIMカード）のみですが、一定期間の月額料金を支払う必要のないプリペイド携帯の端末は一般的に高価です（契約携帯の場合は後の月額料金で端末料金もカバーするため、本体価格ゼロということが可能なのです）。

プリペイド携帯電話の購入方法はいたって簡単で、携帯電話会社でなくてもスーパーマーケットやコンビニ、電器屋など様々な場所で購入できます。通話料金のチャージ（英国では"Top up"トップアップと言います）も身近な商店やインターネットで簡単に行うことができます。

プリペイド式携帯の最大のメリットは、やはり誰でも買えることと契約期間が定められていないことです。従って、比較的短期の滞在者や長期旅行者にはありがたいサービスであることは間違いありません。また、現金でトップアップできるため、もちろん銀行口座は必要ありません。

しかし、一方では本体が高額だったり通話料金が割高だったりと、トータルで見ると必ずしも一番の選択肢であるとは限りません。

以下にプリペイド式携帯を利用する上でのメリットとデメリットを挙げましたので参考にしてください。

メリット	デメリット
銀行口座がなくても買える プリペイドは誰でも購入することができる	通話料が比較的高い １分間の通話料はだいたい£0.10〜£0.40と様々だが、特に他社携帯への通話が高かったりする。
長期滞在でなくても買える 契約携帯のように最低契約期間がないので短期滞在者でもＯＫ	チャージするのが手間 定期的にお金をチャージしなければいけない いざというときに料金切れになると焦る
	プランやオプションが少ない 通話重視あるいはSMS（ショートメッセージサービス）重視などのプランが切り替えられる場合もあるが、基本的には通話料金などは定額
	通話明細が出ない 通話明細がないので、何にどの程度利用したかの把握ができない

レンタル携帯電話

数日間の短期滞在や出張に
レンタル携帯電話は文字通り携帯電話をレンタルし、レンタル期間が終了したら端末を返却します。費用は携帯電話本体のレンタル料金（レンタル日数分）と通話した分の通話料金です。また、本体の紛失・破損に備えて申し込み時にデポジット（後に返却されます）を要求されることもあります。

会社によって、レンタル料金を高くして通話料金は比較的安く設定したり、レンタル料金を安くして通話料金を高めに設定したり、特徴が違うので自分がどのように・どのくらい使うのかイメージしてから選ぶことが重要です。 基本的には数日間の旅行や出張向けだと思います。数週間以上の滞在の場合はプリペイド携帯電話や契約携帯電話を購入した方が安いので、レンタルはあまりお勧めしません。

レンタル携帯電話のメリットは、空港に着いた瞬間から使えるということです。誰かと待ち合わせしているときには事前に電話番号を伝えられるので便利。

以下、参考にしてください。
4travel.jp 携帯電話レンタル 徹底ガイド

海外で使える日本の携帯電話を持って行く

海外で使える日本の携帯電話を使う
最近では国際ローミングをして海外でも利用できる3G携帯（第三世代携帯電話）が普及してきています。本体が３Ｇであれば日本で契約しているソフトバンクやドコモ、auなどの携帯がそのまま海外でも使えたりします（国際ローミングをするには申し込み手続きが必要だと思いますが）。

海外で使える日本の携帯電話のメリットは
・新しく海外携帯やレンタル携帯を契約する必要がない
・電話番号が同じまま使えるので、家族や知人に連絡する手間がない
ということです。

予想以上に高額になる覚悟が必要
しかし、そのかわりに ・料金が高額！ という大きなデメリットがあります。

mixiなどの掲示板で海外で日本の携帯を使ったら「５万円の請求がきた」、「７万円を超えた」などという書き込みをよく見かけます。

2008年2月22日の新聞記事で、海外滞在中に迷惑メールを削除しただけで５万円以上の利用請求がきたということで、販売店の説明不足を理由にソフトバンクが提訴されるということがありました。参考：「使用料説明不足」　札幌の女性、ソフトバンクを提訴（北海道新聞）

メール削除などのメールサーバー操作にもこのパケット通信代金がかかり、海外ではパケット通信代金が割高になっています。海外ではメールの受信を行うだけでも、通常よりも高いパケット通信料金がかかるため、日本の各携帯電話会社でも海外に行く際はメールの自動受信機能をＯｆｆにすることを勧めたりしています。

日本へ電話をかけるなどの通話料金が高くなることも容易に想定できますね。また、国や地域によっては相手から電話をかけてきた場合でも着信料金がかかります。

かける相手にも迷惑かも・・・
海外に日本の電話を持ってきてそれを使うわけですから、あなたが高い通話料や着信料金を支払うのはしょうがないかもしれません。しかし、それだけではなく、あなたに電話をかけるお友だちはあなたに電話をかける際に国際電話通話料金を払わなければなりません。

このように日本の携帯電話を海外で使うと想定以上に高額になる可能性が高いだけではなく、通話相手にも迷惑をかけることになるかもしれないということを考慮し、ごくごく短期の旅行などの緊急時用として検討するのが良いでしょう。

従って、短期のイギリス滞在やイギリス旅行の場合でも、携帯電話の一定の利用が予想される場合はレンタル携帯電話の契約かプリペイド携帯電話の購入を考えてみる方がよいかもしれません。